一筋縄では逝かせない★



「何なの?あの態度。奴らの仲間を私たちが助けてやったってのに。」



無理矢理船に乗せられた桃子はご立腹のようです。



「桃子。」



兄はしーっと口に人差し指を持ってきて桃子に黙るよう合図しました。



「(そいえばそんな状況じゃないんだった…にしても私いくつよ。)」



桃子は1人、ノリ突っ込みをするのでした。



「あ、あの…」



桃子が1人芝居をしている頃。



畑おばあさんは殿様の言葉に動揺を隠せずにいました。



「もう一度…言っていただけませんか?」



「私が命令してあなたを鬼ヶ島に寄越したと言ったのです。」



殿様は戸惑う畑おばあさんの目を見て、逸らすこともなく淡々と言葉を並べていきます。



「だから息子を自分の城に呼び付けたのですね。」



「ええ。せめてもの償いを、と思いまして。今日もあなたとあなたの息子さんがいると知って、ここまで謝罪しにきたのですから。」



殿様はそのまま深くお辞儀をします。



「私もここにいるとなぜわかったのです?」



畑おばあさんの問いにミッシェルはまた強く、顔を歪めました。



そして、殿様の返事を待ったのです。




< 489 / 525 >

この作品をシェア

pagetop