一筋縄では逝かせない★
「…(もの凄い視線を感じる)」
「あーっもう!言いたい事があるなら、ハッキリ言えばいいじゃないですか!」
熱い視線に男が後ろを振り向けば、指をくわえた畑おばあさんの姿が。
「え!あ、う…うん、何でもないのよ」
訊ねればハハ…と渇いた笑いが返ってきました。
「…何もないなら、皆さんの所へ行きます」
「ぎゃあ!ちょっと、それは待って!」
と男の服を掴みます。
「…」
「…わっ、ごめんなさい…」
そしてパッとすぐに手を離しました。
「た、大した事じゃないの…ただ、今は何を考えてるのかなーって…」
畑おばあさんは手をもじもじさせながら言いました。
その姿を男はチラッと見て、
「箱の事です」
それだけ言い放ちました。
「…そ、そうよね!ハハ…」
畑おばあさんはもじもじさせる手の動きを止めました。