一筋縄では逝かせない★



「あれー?そうだっけえ?」



ミッシェルが遠くを見るような素振りをしながらそちらを向きます。



「絶対あれよ!早く行かなきゃ!」



「そうだっけえー?」



焦る桃子の横で呑気にミッシェルがまた呟きました。



「あんたねー…!」



怒鳴りそうになるのを無理矢理抑えて桃子はミッシェルを睨みます。



こんなところで怒鳴りでもしたら疲れて体力が保ちそうもありません。



「何ですか?」



しかもきょとんとして事の大きさに気付いていません。



それが余計に桃子の怒りのボルテージを上げていきます。



「(金づちなら溺れて死んでしまえ。)」



「桃子。」



止せ、と兄が目配せします。



「おれが見に行ってくるから。」



さすがはお兄ちゃん。



「みんなはここでまとまっててくれ。」



兄はそう言って殿様がいた方に泳いでいきました。



「…お父様…。」




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