一筋縄では逝かせない★
「どこに連れて行く気だよ」
家来は逆上しない様控えめにカメに問いかけました。
「まあまあ」
「(こいつ本気で沈めたろか!?)」
家来は強めに甲羅にしがみつきそう思いましたが、
「…(いくら息が出来ても、ここで放置は困るな)」
と思い直し止めました。
乗せてもらっているカメは話す気がなさそうなので、
「おい、どこに連れて行く気だ?」
と周りに並んで泳ぐ他のカメに聞く事にしました。
「そんなに知りたいの?」
「いいところなんじゃないかなぁ」
どのカメもどこか笑いを含み、教える気はなさそうです。
「……」
―ボカッ
「痛ッ!何するんだよ!落とされたいの!?」
キッとカメは甲羅に乗る家来を睨み付けました。
そんなカメを無視し、家来は自分の握り拳を見つめ、
「痛みは感じるんだな」
と言いました。
「はぁ!?」
「(どうやら、そういう様に設定されている様ではなさそうだな…こいつ等の意地が悪いのか)」
家来は乗ってしまった事を微妙に後悔しました。