一筋縄では逝かせない★



「どこに連れて行く気だよ」



家来は逆上しない様控えめにカメに問いかけました。



「まあまあ」



「(こいつ本気で沈めたろか!?)」



家来は強めに甲羅にしがみつきそう思いましたが、



「…(いくら息が出来ても、ここで放置は困るな)」



と思い直し止めました。



乗せてもらっているカメは話す気がなさそうなので、



「おい、どこに連れて行く気だ?」



と周りに並んで泳ぐ他のカメに聞く事にしました。



「そんなに知りたいの?」



「いいところなんじゃないかなぁ」



どのカメもどこか笑いを含み、教える気はなさそうです。



「……」



―ボカッ



「痛ッ!何するんだよ!落とされたいの!?」



キッとカメは甲羅に乗る家来を睨み付けました。



そんなカメを無視し、家来は自分の握り拳を見つめ、



「痛みは感じるんだな」



と言いました。



「はぁ!?」



「(どうやら、そういう様に設定されている様ではなさそうだな…こいつ等の意地が悪いのか)」



家来は乗ってしまった事を微妙に後悔しました。



< 508 / 525 >

この作品をシェア

pagetop