一筋縄では逝かせない★
荒れ狂う波の中、
「ぉ…おい!誰かいないのか!おい!!」
と焦った声が波の音に消されながら小さく聞こえてきました。
「じ…実は俺、船乗りのくせに…お、泳げねぇんだぃ…」
一体どこの誰にそんな今更なカミングアウトをしているのでしょうか。
けど、そんな声も聞いていてくれた者がいた様です。
「わ、それは大変だー」
まったくといって微塵にもそう思ってなさそうな声がしました。
「!」
船長の父は気付けば足場が安定し、更に息まで出来ていました。
「な、なんだお前さんは!」
「なんだとは失礼な!こんなにプリティーでチャーミーなのに!」
「へぇ、プリティー・チャーミーさんっていうのかい。外人さん?あれ、日本語」
「違うッ!ボクはミッシェル二号」
「やっぱ、外人なんじゃないか…」
「知らないよ!ミッシェルに聞いてよ!」
「俺、外国語はちょっと…」
「ロボットだからなんでもありなの!(多分)」
「え、ロボット」
「そうだよ!」
ミッシェル二号は段々イライラしてきました。