一筋縄では逝かせない★
「雨でも降らねぇかな…」
犬がぼそっと呟きました。
振り返るとおばあさんが不安そうに自分の方を見ています。
「待ってろ、すぐ消してやるから…」
再び炎に向かい合った犬の背後で、おばあさんがふふ、と微笑みました。
「意外と効くもんね…得意技No.002“うるうるチワワ目”♪」
恐ろしい女です。
−そんな時です。
「…あ…!!」
犬の鼻の頭にぽつり、と何か冷たいものが落ちてきました。
「ば…ばあさん!雨だ!!」
「え…ホントだわ…!!」
雨の勢いが次第に強まるにつれ、反対に炎はだんだんと鎮まってきました。
「…ん??」
先にあることに気付いたのは犬でした。
「な、何!?どうしたの!?」
「炎の向こうに…誰かいねぇか!?」
「まさか…!」
おばあさんは両頬に手を当てて目を見開きました。
「おじいさん…おじいさんなのっっ!?」