一筋縄では逝かせない★
「よいしょ、こらしょ…って、何処連れて行こうとしてんだろ、俺…」
行く先も判らず、猿はおじいさんを引きずりながら踏ん張っていました。
「それにしても…早く起きろよ!クソジジイ!どんだけ深い眠りなんだ…腕がもうそろそろ…」
「お手伝いしましょうか?」
「!?…お…鬼!?」
猿が突然掛けられた声に振り向くと、そこには自分より遥かに大きい青い体をして、角を1本生やした鬼が立っていました。
「けけけ結構です!!」
猿は鬼を見ずブンブンと首を横に振り答えました。
「え、けど…」
「い、いいっつってんだろ!!」
猿はバシッと、伸ばされた鬼の腕を叩き返しました。
「痛…っ」
「え、そんな強くは…て、お前!どうしたんだよ!その傷…」
鬼の体には、無数の痛々しい傷が所狭しと刻み込まれていました。
「俺達より、まずはお前が先だろ!」
猿はおじいさんが何故か持っていた救急セットで鬼の傷を手当てしました。
「とりあえず応急処置だ」
「ありがとうございます。逆に助けられちゃいましたね」
鬼はポリポリと頭を掻きました。
「どうしたんだよ、その傷。誰に付けられたんだ?それに鬼が何でこんな所に…」
鬼は俯き、言い難そうに、
「実は自分はある方の舎弟で…これも何かの縁!またになりますが、助けて下さい!!」