小緒良ノート
後ろ側の通路から、女の子が歩いてきた。可愛らしく、金色の髪の毛をおさげにしている。5歳くらいだろうか?

彼女は私の前の席に腰を降ろした。ボックス席なので、前は空いているのだ。膝の前には、小さなテーブルもある。

女の子はニコニコしながら言う。

「ねぇ、おじさん、ゲームしない?」

「ゲーム?」

見ると、女の子の手にはトランプの箱が握られていた。なるほど。

「いいよ」

「やった!じゃあ、ババ抜きね」

そう言うと、彼女は箱からカードの束を取り出し、シャッフルし始めた。なかなかうまいものである。
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