小緒良ノート
私たちはババ抜きを続けた。
といっても、2人だけなので、すぐに手札は少なくなる。

「もうすぐ終わるね」

女の子の手には、2枚、私の手には、1枚。
つまり、彼女がジョーカーを持っているわけだ。

「こっちかなぁ。いや、こっちかな?」

彼女が握る2枚のカード、どちらを引くか迷っていた。
そんな私の様子を彼女はニコニコしながら見ている。

ふいに女の子が小さな声で言う。

「…こっち…こっちを引いて…おじさん…」
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