プライベート・スカイ
【第一章】

・孤独な空

──空の写真を撮るのが好きだった。

今ならデジカメや、ケータイで
ふと空を見上げた時に簡単に撮れる。

毎日、同じ空はない。だからこそ未完成で、それが逆に美しいのだと思っていた。


気に入った'空'が見つかると、オレは秘密のブログにUPしていた。

オレだけのアルバム。

ネット上では公開していたし誰かが見てるかもしれないけど、

オレを知らない誰かがオレを覗くのは構わなかった。

撮って、集めた'空'の写真はオレのもの。

誰の意識も介入しない、極めて私的な



プライベート・スカイ


 『青山 透依』
(あおやま とうい)
オレだけの'空'だ。







「ね…青山くん?青山透依くんじゃない?」

「───はっ!?」

会社の先輩に連れられて行ったキャバクラで、オレは隣に座ったキャバ嬢に声をかけられた。

えーと…誰だぁ?

この時、オレはかなり酔っていて記憶を探るのに時間がかかった。

少し薄暗い店内。

オレは女の顔をジッと見ていた。

「ヤだ、近いよぉ」

「…」

「覚えてない?私よ、織江 礼奈(おりえ れいな)」

「レイナ…オリエ…」

「大学が一緒だったよ。忘れちゃった?」

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