プライベート・スカイ
リーマンはあたしの手を掴むと、グイグイ引っ張って歩き出した。

「えっ、ええ~ちょっと待っ…」

「何?今さら嫌だとか言うわけか?俺だって苦労したんだぞ!出会い系はサクラばっかだし…」

やだぁ!!
こんなヤツにニ万でヤられちゃうの!?

…でもニ万…お金欲しいしな…

…って~ちっがーう!!

「あ、あ、アズマさん…じゃないですよね?」

「──アズマ?誰それ」

あー!!やっぱり人違いだぁ~いやーん!!

「離してよっ!!あたし違うから!!」

「違うってなに?嘘つくんじゃないよ」

「嘘じゃな…?!」

「…なんだ、お前?」

突然一人の男が、騒いでるあたしとリーマンの肩を掴んで話しかけてきた。

「悪いね、オッサン。そいつ、俺のツレなんだわ」

…今度は何!?

イヤー!もうワケ分かんない!!

その男は深めに帽子をかぶっていて、顔は全然見えなかった。

リーマンと同じくらい怪しいけど、リーマンよりはマシな気がする!

「何言ってんだ!この女は俺が…」

「'買う'つもりだったわけ?警察に突き出してやろうか?仕事も肩書きも家族も失うぜ」

「…くっ…」

脅しをかけるとリーマンは直ぐに引き下がった。
< 101 / 379 >

この作品をシェア

pagetop