プライベート・スカイ
そう言われて、抵抗はできなかった。

アズマは買ってきたミネラルウォーターを口にふくませると、あたしに口移しで飲ませた。

…飲んだフリして薬だけ出すこともできない。

正直、これを飲むのは怖かった。どうなってしまうのか分からない。

最悪、死んじゃうかも──でも逃げられない!

あたしは思いきってゴクンと飲み込んだ。

「よし、いい子だな」

ああ…どうしよう…

次に目が覚めたらホントに天国かもしれない。

もうお兄ちゃんには会えないかもしれない…

その時、初めて'怖い'と思った。
あたし、アズマに殺されるのかも…

アズマはあたしの身体で楽しみ始めた。

彼が何をしてるのかよく分からない。何も感じない…

そのうち意識はもうろうとしてきて


───やがて何も分からなくなった…
















「…ん……?」



──身体が妙に重い。

やっとで身体を仰向けにさせると、見慣れない天井と照明が見えた。

…なんだっけ、ここ。

「…いつまで寝てんだよ」

声がした方を見ると男がタバコを吸っていた。

「天国行けたか?そろそろ仕事を教えるぜ」

「うん…」

ようやくあたしの目が覚めた。
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