プライベート・スカイ
つい、yesと答えてしまっていた。

…なに言ってんだ、オレ。

でも、本当に苦しそうなレイナを助けてやりたいと…そんな考えが頭に浮かんだのは事実。

何にも知らないのに…そんな風に思うオレもどうかしてる。

他人を助ける余裕なんて、オレにあるのか?

「良かった…」

レイナはホッとして泣き出した。

──とりあえず、なんとかしなきゃな…




  'コンコン'

ドアをノックする音。心配したマスターが様子を見に事務所に入ってきた。

オレとレイナは慌てて離れた。
そして何となく、その場をごまかす事にした。

「わかったよ!レイナの言いたい事はわかった。だから、えーと、今回の事はお互い様ってことで」

「……え、ええ…そうね」

「青山さま、お話の方は…」

「あ、もう大丈夫です。納得できましたから。心配しなくても、また来ますよ」

「そうですか!よかった!本当に申し訳ありませんでした」

マスターも安心した様子で再度、頭を下げた。

「お連れの中川さまがお待ちですよ。もう帰られるとか」

「あっ、はいはい」

しまった。
レイナは中川さんが指名してたのに、オレと一緒にいたし…

オレは慌てて中に戻った。
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