プライベート・スカイ
──朝。
まだ夜が明けきっていない時間に目を覚まして、隣に大好きな彼女が眠っていたら
そんな事が嬉しい。
問題はまだ残っていても、そんなの些細なことのように思える。
だってレイナと一緒に居られるんだから…
「…って!ヤバ!起きて一度家に戻ってから会社行かなきゃ!」
のんびり感動してる場合じゃなかった。
オレは慌ててベッドから飛び起きて服を着た。さすがにレイナも目を覚ましていた。
「…とーいー…?」
「ゴメン!一緒に居たいんだけどさ、仕事行かなきゃだし家にも一度戻らなきゃだし」
「うん…そうだよね」
寂しそうに答えるレイナに濃厚なキスをした。
「愛してるよ」
「うん…!」
言葉はお守り代わりだ。一緒に居てやれないし、何にも出来ないから
少しでもレイナが安心できるように
胸に刻んだ印しと言葉をレイナの元に置いていく。
会話をする間もなく、オレは彼女の家を飛び出して自宅へと戻った。
まだ朝も早いと言っても、お手伝いさんは朝の支度を始めてるし
多分、親父も起きている…
会いたくないと思ったのに、そっと玄関に上がり足音を忍ばせたのに
階段の所で声をかけられた。