プライベート・スカイ
何度も佳依の部屋のドアをノックした。

「佳依!おい、まだ寝てんのか?」

…返事はない。
居ないのか?

でも、もしかしたら寝てるのかも…
悪いとは思ったが、オレはドアを開けた。

几帳面に片付けられたシンプルな部屋。
カーテンは開けられ、そこには佳依の姿はなかった。

もう家を出たのか、アイツも帰らなかったのか…

どちらにしても聞きたい事は聞けないし。

「なんか…久しぶりに佳依の部屋に入ったな」

こんな部屋だったか?

モノクロなインテリア。本棚にズラリと並んだ経済学の本と、聞いてるらしいCD。

…ちょっと聞かないアーティストのCDだと思い、それを手に取ろうとして

本か何かも一緒に落としてしまった。

「あ、ヤバ……なんだこれ?」

それは、本と本の表紙の間に上手く隠されていた。

オレはそっと引き抜いて見てみた。



…通帳…?
なんでこんなトコに?

明らかに隠してあったな。
悪いとは思うんだけど好奇心の方が勝つ。

通帳を覗いてみると…驚くような数字が並んでいた。

およそ、一億。

オレの通帳にだって、一千万くらいしか入ってないのに…
しかも子供の時からの積立てで。

なんだ…この金…
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