プライベート・スカイ
給料の振込というわけではなかった。

入金は多分ATMから。
それも頻繁に。

わけが分からない。でも…通帳を隠してあったという事は、まともな金じゃない可能性が高い。

「なにしてんだ…アイツ」

とりあえず、佳依の部屋に居るのはマズイ。オレは通帳を戻し、本やCDも元の場所に戻して佳依の部屋を出た。

自室でシャツなんかを着替えて食堂に行くと、親父はまだ朝食を取っている最中だった。

「父さん、佳依いないのか?」

「ああ、佳依は京都に出張だ。新しい店舗を出すんでな、佳依にその仕切りを任せている。何か用事か」

「ん─…いや、別に」

嫌な予感はあったが、それを親父に告げ口するほど子供じゃない。

今聞いたように、大きな仕事を佳依に任すような親父だ。
かなり信頼しているのはわかる。

佳依ばかり・だ…


オレは松江さんが出してくれた玉子焼きを食べながら、親父に言った。

「父さん。オレはさ、そのうち父さんの会社に行ったりするんだろうか?」

「それは、ウチの会社で働きたいって事か」

「まぁそうかな。社長職は佳依が継ぐとしても、それなりに重要なポストが欲しい」

「今の会社で何の実績も上げてないのにか?」
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