プライベート・スカイ
「何が本気なんですか」

いつもは冗談ばかりを言ってる中川さんが、驚くくらい真面目な顔をして言った。

なんか…ヤな予感。

「マズイよな…でも好きになっちゃったんだよ…」

「誰の事ですか?総務のエリちゃんすか?人事の知代ちゃんですか?」

「レイナだよ、レイナ!」

必死にさりげなくごまかしていたのに、中川さんの口から彼女の名前が出てきた時は

…正直、複雑だった。

「レイナって…キャバ嬢ですよ?」

「でも本気で好きなんだ。俺には優しいし、こまめにメールもくれるし、気配りも出来て可愛いし…」

それは営業だから。

中川さんに対して特別な感情なんてないんだから。

仕事だから。

レイナが好きなのは、このオレなんだから。

レイナを抱けるのはオレだけなんだから。



──そう言ってやりたいのに、言えない…

相手は中川さんだ。これからも一緒に仕事するのに関係を悪くはしたくなかった。

あー
でも言いたい!!

何故かオレ、中川さんに嫉妬してる。

店に着くまで、中川さんはレイナに対しての気持ちをオレに話してくれてた。

正直ウザイくらい。

イライラしながら聞いていたさ。
店に着いた頃は不機嫌Max。
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