プライベート・スカイ
そのまま私は朝を迎えた。

もう透依は仕事に行っている時間。数時間はメールを送ってはこないだろう。

「はぁ…透依のバカ」

彼には聞こえないのに、そう呟く。
まだ怒ってるの?だって、どうすればいいのよ…

睡眠時間は足りてないのに、すっかり目が覚めてしまった私は
起きて紅茶を入れた。

ゆっくり飲みながら新聞に目を通す。
これも仕事に必要だから。

半分くらい読んだ所で、テーブルの上に置いてあったケータイに着信があった。

「透依?!…じゃない、誰だろう…」

見慣れない番号にガッカリしながら私は電話に出た。

「もしもし?」

『…織江礼奈さん?』

「そーですけど」

『私…この前一度電話したんですけど、分かります?』

…誰?
知らない女の人…ううん、聞いた事のある声。もしかして──

『私、透依の彼女です』





ドキン

ケータイを落としそうになり慌てて両手で押さえる。

一度電話があった…あの時は何がなんだかわからなくて、ただ聞いていただけの電話だった。

もう二度とかかってこないと思ったのに…

「確か…美夜さん…」

『ええ、そうよ。ねぇ今から会って話せないかしら?』
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