プライベート・スカイ
即答はできなかった。雨峰ちゃんには'話しなんかする必要ない'って言われてたし…

一体何を話すと言うの?

正直言うと会うのは怖かった。こうして電話で話すだけでも怖いのに。
だってそうでしょ?

私…略奪したことになるんだもの。

よく知らないけど、もし彼女がいい人だったとしても、普通は怒ってるだろうし

私を恨んでるはずよ。

これが逆の立場なら…私が他の女に透依を盗られたなら、傷つくし相手の女を恨むし

殺したくなる。

『聞いてる?私ね、こんな目に遭わされてるんだから被害者でしょう?加害者の貴方が否定する権利はないと思ってるわけ』

「…加害者…」

ってなに?

私──そりゃ悪い事したとは思うけど、それは結果論で。透依にも責任はあるのに、私だけが悪いみたいな事を言うのね。

まるで犯人扱いじゃないの。

『電話じゃなく、直接話したいの。いいわよね?』

彼女の態度にちょっと頭にきていた。

「いいわ。分かったから、どこに行けばいいの?」

『私、入院中なんだけど今から病院に来てくれないかしら?脱け出すわけにはいかないのよ』

「ああそう。今から行くから」

病院の名前を聞いて私は電話を切った。
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