プライベート・スカイ
もう夕方だった。
どうせ、体調悪すぎて仕事は休むつもりだったし

彼には会いたかったし。

『すぐ行くから待っててね』

そう返事をして、私は重い身体を起こして透依の元に向かった。



…なんであんな所に居るんだろう?

今日も仕事なんじゃなかったのかな?
普通なら、今は仕事してる時間よね…

ちょっと疑問に思いながら展望台に着くと、私はすぐに透依を見つけた。

…カメラのファインダーでも覗くように手を上にかざして空を眺めてる。

「透依、何してるの?」

「…空、見てた。ここなら空に近いからさ」

「ふぅん…」

言われて私も空を見た。久しぶりに空を見上げた気がする…

そういえば、最近あのブログの更新が止まってるなって思い出した。

『彼』もこんな風に、空を眺めて何かを想うのかしらね…

夕日が強くて、青い空と混じり合い見事な色彩のグラデーションの空色。

「レイナ、仕事辞めてオレと暮らさないか」

「ゴメン。嬉しいけど…」

「オレとじゃ嫌なのか?」

「嫌じゃないわ。でも今はダメなの。もう少し待って」

「…待てないよ。
オレ


九州に
転勤が決まったんだ」



「…嘘────」


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