プライベート・スカイ
途端にブルーになった、あたしのテンション。

「なに凹んでんの」

「だって…薬売る為の仕事だったんだなぁって…」

「今さら…最初からそう言ってたじゃん?だからホラ、バイト代出したろ」

「うん…」

だから100万円。金額の意味も分かった。
簡単に手に入るようなお金じゃない。

これは

誰かを不幸にした報酬なんだ───

あたしの頭をなでながらアズマは言った。

「辞めるか?」

「…ううん、やるよ」

あの『佳依』って人に会って、お兄ちゃんがああなった理由を教えてもらいたいし

こんな事、辞めさせたいから。

矛盾してるのは分かってる。SweetPainをこの世から消す為に、SweetPainを利用するの。

それまでの間、あたしはドラッグを売るための手伝いをする。

あたしだって、あの薬を不本意ながらも使ったし。そして今は売人の協力者。

確実に有罪。

もう何にも怖いことなんてないわ…

怖いのは




お兄ちゃんの心臓が止まってしまうこと。

このお金は貯金しておいて、あたしに何かあった時は
これで誰かにお兄ちゃんをみてもらおうと思った。

「そろそろ帰ろうぜ」

アズマが言った。
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