プライベート・スカイ
『委員長』は何もかも分かっているような顔をして答えた。

アズマもそう。

お兄ちゃんだって全て分かってて飲んだ可能性が高い気がする。

あたしだけが…何にも分かってないって事?

「あんなものが必要になる事ってあるの?」

「アレじゃないと、ダメなんですよ」

「…あたしには…分かんないな…みんな苦しかったり悩んだりしてるから、少しでも楽になりたくて使用するんじゃないの?」

「いいえ。中にはそういう人も居るでしょうけど…これはある意味'救い'にもなるんです」

「救い…!?こんなものに頼らなくてもいいんじゃない!?あたしだって、赤の他人でも話しくらいは聞けるし相談にだって乗れるし──」

本当の救いって、誰かの温もりだって思いたい。

救いがドラッグだなんて悲しすぎる!

「あなたには誰も救えませんよ」

「…!」

『委員長』は冷静に言った。まるであたしが一人でバカな事してるって言いたいかのように

容赦なくあたしの心に傷をつけた。

「あなたに救ってもらおうとは誰も思わないんじゃないですか」

「どう…して?」

「他人を『可哀想』って思ってるからです。自分なら救えると…そんなの傲慢じゃないですか?」
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