プライベート・スカイ
空耳…?

ううん、確かにレイナちゃんはアズマを見て名前を呼んだ。

逃げ出したあたしを追ってきたのに、あたしじゃなく『アズマ』を見つけて───…

どういう事?

アズマと顔見知り?

アズマから…ドラッグを買ってた…?
だから知り合いなの?

でも、どうして

レイナちゃん…そんなに驚いてるの?

「アズマ…レイナちゃんと知り合いなの?」

「…」

アズマは答えない。あたしがレイナちゃんの方を見ると、レイナちゃんの方から話しかけてきた。

だけど相手はアズマ。

「どうして…アズマ…雨峰ちゃんと一緒なの…どうして…キス…」

話しかけてきたと言うには、途切れ途切れで上手く言えないみたいだった。

'どうして'と、聞きたいのはあたしの方だ。

明らかにレイナちゃんは…あたしとアズマがキスしてた事に動揺してる…

「久しぶりだな、レイナ」

「アズマ…どうして雨峰ちゃんと…まさか、アレを…!」

「お前が考えてるような事じゃねーよ。雨峰は俺の女だから。仕事終わってから、会う約束してたんだよ」

そう言うと、アズマは彼女に見せつけるようにあたしの肩を抱いた。

「えっ、ちょっ…」

あたしまだ彼女じゃないし!
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