プライベート・スカイ
もういいよ。
好きにすればいいよ。

仕事だって続ければ。

そんなんじゃ、オレは助けてやれない。

オレの願いは、彼女にとって迷惑なんだからさ…

気持ちが揺れないように、その場でオレはレイナの電話番号とメアドを消した。

Loveメールも消した。

彼女を好きな気持ちも消去したいけど、どこにもリセットボタンはないし。

数ヵ月の記憶は消せないし、美夜を傷つけた事実だって消せない。

「クソ…っ!!!!」

オレは飲んでいたお茶のペットボトルを壁に投げつけた。



───どうして

レイナが好きだと思うと心が傷つくんだろう。

ずっと守ってやりたいと思っていた。

オレだけを愛してほしかったし、オレだけのものにしたかった。

彼女の辛さを和らげたいと思って、彼氏になったのに
…全然できなかった。

オレは無力で

必要とされてないんだ。


オレは女と別れて、生まれて初めて泣いた。

何か悔しい…

お互いがずっと一緒に居たいと思っていて、その延長線上に結婚があると思ってたのは

実はオレだけだったんだと知ると、裏切られた気分になる。

もう…忘れたい…



それからオレは、仕事に没頭していった。
< 222 / 379 >

この作品をシェア

pagetop