プライベート・スカイ
ちょっとうつ向いて恥ずかしそうに、オレにだけ聞こえるように彼女は言った。

「小岩さん…あの…」

「青山さん、彼女とか…居るんですか?」

レイナの事が頭をよぎる。でも…あんなカタチだったけど『サヨナラ』を言ったし。

彼女が居ると言われれば、まだ居ると言えるし

居ないと言えば、居ないのも同じだし…

オレが答えに詰まっていると、彼女は残念そうに笑ってみせた。

「あっ、そうですよね!あっちに彼女置いてきてますよね?青山さんカッコイイもん」

「えっ、あ…いや」

「ごめんなさい、私ってば全然そこまで考えてなくて!忘れてくださいね」

顔を真っ赤にして、ちょっと涙目で謝る彼女。

レイナとは全然違う、可愛い女のコなんだ。
正反対のタイプだからこそ────

レイナを忘れられるんじゃないかと思った。

「謝らなくていいよ。オレ、小岩さんの料理食べてみたいな」

「えっ…」

「もう気が変わっちゃった?」

「そっ、そんな事ないです!いいんですか!?」

パッと笑顔になる彼女。クルクル表情が変わって、見てると可愛いなって思った。

「うん。って…食べさせてもらうんだから『こちらこそ』って感じだよね」
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