プライベート・スカイ
スヤスヤと眠ってる…珍しい。

いつもは眠り自体が浅くて、常に起きてる感じがするのに

そういえば傷が痛くて眠れなかったって言ってたから睡眠薬でも飲んだのかな?

そう思った時、スタンドの横に薬らしいものが置いてあった事に気づいた。

「なんだ?これ」

見た目、薬っぽいんだけど…何か変。

ピンクで、形はハート型。薬をこんな形にする必要はないだろ。

睡眠薬だったとしても…こんなのあんのかな?

小さなビニールの袋に数錠がバラで入れられてる。

オレは中から一錠だけ取り出し、ティッシュに包んで自分の財布に入れ

下に降りて松江さんに一応聞いてみた。

「ねぇ松江さん。母さん睡眠薬とか飲んで寝たの?まだ寝てるんだけど」

「いえ、私には何も…いつものお薬は飲んでないはずですよ」

「そうか…」

あの薬に違和感を感じた。

まさかドラッグとか言わないよな。

だいたい手に入れる手段がないし、親父にバレたら本当に家を追い出されるしな。

きっと睡眠薬を飲んで寝たんだろう。

オレはそれほど深く考えなかったが



それから母親は一生
目を覚ます事はなかった。


眠ったまま

二度と目を開けなかった───


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