プライベート・スカイ
「透依…」

レイナの方から、オレに声をかけてきた。
どんな態度で接したらいいのか分からず

つい冷たい言葉が口から出てしまう。

「何しに来た?なんで葬式だって知ってんだよ」

「…中川さんから連絡もらって…雨峰ちゃんも来てるのよ」

レイナが指さした方を見ると、アマゾンが焼香の列に並んでいて
オレと目が合うとアマゾンは深々と頭を下げた。

「別にわざわざ来なくてもいいのに。お前らとはそれほどの付き合いじゃないだろ」

「…ごめんなさい。でも私──透依が心配で」

「心配?今まで一つも連絡よこさないようなヤツがオレの何を心配すんだよ?」

「だってそれは…」

「だって、なに?もう別れたからって言いたいの?」

ああ、自分がイヤだ。こんな風に言う必要なんてドコにもないのにイヤミばかり言ってしまう。

素直じゃない。
素直になれない。

──後悔することは分かりきっているのに。

「別れてない…私はまだ好きよ。でも透依に嫌われたんだと思って…だからなんて言えばいいのか分からなくて…」

「じゃオレを嫌いになるようなことしてやるよ!」

オレはレイナを連れて誰もいない建物の裏へ行き

彼女に無理矢理キスをした。
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