プライベート・スカイ
自分の中に、こんなに弱い部分があるなんて知らなかった。

まるで子供みたいに、母親に甘える子供みたいに、不安でレイナにしがみついて泣いた。

どうしたらいいのか分からない。

母親は、一つも母親らしい事をしてこなかったのに

むしろ恐怖さえ感じていたのに。

レイナはずっとオレを抱きしめ、オレが安心するように言葉をかけてくれた。





しばらくして落ち着きを取り戻したオレは、レイナを連れて家に帰った。

実家までは10分ほどの距離。

告別式にはまだ時間があるし、あの参列者だ。オレ達が居なくなっても気づかないだろう。

家には誰も居ないし。

オレはレイナを連れて自分の部屋に入った。

それまでレイナは何も言わなかったが、部屋に入ると話し始めた。

「これが透依の部屋…写真が趣味なの?」

「なんとなく、な」

「キレイね…」

ブログ用に撮った写真とか、気に入ったものはプリントして飾ったりファイルに入れたりしていて

ちょっとしたアトリエみたいになってる部屋。

それを興味深そうに一つ一つ眺めるレイナを、オレは後ろから抱きしめた。

「もう…離れないで…ずっと側に居てくれ…」

「うん───…」



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