プライベート・スカイ
──久々だったし

もうダメかと思ってたから余計、頭を真っ白にしてレイナを抱いた。

まだまだ抱きたいけど…

「告別式が始まるな…」

時計を見ながらため息をついた。
さすがに長男が居ないとなると親父にも親戚にも怒られるし

母さんにも悪いし。

「行かなきゃ、ね。服着ましょ」

「ん。仕方ないよな」

諦めてオレ達は起きて服を着た。オレが服を着終わっても、レイナの方が時間がかかってる。

彼女を部屋に残し、オレは下の冷蔵庫から水を二本持って部屋に戻った。

「ハイ、喉渇いたでしょ」

「ありがとー。ちょうど水が飲みたかったの」

「汗かいたからな」

二人共、自然に笑顔になる。
そういう空気が、久しぶりに幸せだなって感じた。

家にタクシーを呼んで会場に戻ると、式が始まる10分前だった。

会場の少し手前でタクシーを降りて、二人別々に会場へこっそりと入る。

レイナはアマゾンの所へ。

オレは居なくなった理由を『腹痛だ』と周りに言ってごまかした。

祭壇の最前列に佳依の姿を見つけ、その隣に座る。

「今までドコに行ってたんだよ?」

「あー、腹痛くてトイレにいたんだ」

「ふーん。ずいぶん遠いトイレだな」
< 239 / 379 >

この作品をシェア

pagetop