プライベート・スカイ
雨峰ちゃんは落ち着いていた。私が動揺してたから、冷静にならなきゃって思ってたのかもしれない。

「話せそうならレイナちゃんはちゃんと説明してくれると思う。
でもまだ落ち着いてないから無理でしょ?大丈夫。あたしは追い出したりしないから」

笑顔で言われると心強くなる。

それでもずっとここに居る訳にはいかない…

「ありがとう。ごめんね」

「気にしない、気にしない」

「ううん、病院でのことも…」

「平気!もう忘れちゃったもん」


彼女はワザと明るく答えた。

それが余計、私の胸に突き刺さった。

──仕事が上手くできなくて、嫌がらせもされていたのを私は知ってた。

皆にバカにされていたことも。

知ってて私は庇うこともしなかった。卑怯で子供な私よりも雨峰ちゃんの方が大人よね…



私はテレビの電源を入れてニュース番組を探した。

あの病院前の映像を流してる所で手が止まる。

『…成田美夜さんはある薬物の過剰摂取による中毒で死亡したとの見方を強めています。

警察は成田さんと病院内で最後に接触のあった女性の行方を探して任意で事情を聞く方針とのことです』



「私が部屋から逃げ出した理由はこれよ」
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