プライベート・スカイ
眠れるはずもない。

レイナは横になったまま身動き一つさせずにジッとしていた。

オレも疲れて、レイナの隣で横になった。

でも、レイナには触れられない。二人の間には見えないガラスでもあるかのように、10㎝ほどの空間ができていた。





レイナと出会った頃、一晩中レイナを抱きしめて眠った。

彼女を何とかしてやりたくて。彼女を守ってやりたくて。
Sexなんか、する気にもならなくて

ただ抱きしめていた。

それだけで、お互い心が満たされた。

一つになるって、こういう意味もあるかもしれないと、彼女を抱きしめた身体の感触でそう感じてた気がする。

ただ、好き。

他に余計な感情なんてなく、レイナが好きなだけ。

そんな事を想っていた時が遠い昔に思える。

今は


レイナを抱きしめられずにいた。

数時間前にレイナと会ってから、レイナには触れられなかった。

裏切られたから?

…分からない。でも迷いがある。違和感と怒りがある。

レイナには言えないけど
好きでいられる自信なんてない。

もう好きじゃないかもしれない──






朝方、レイナが静かに外に出て行くのを
オレは引きとめずに眠ったフリをした。
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