プライベート・スカイ
傷を癒すのは簡単な事ではない。
最初の1ヶ月は耐えがたい苦痛の毎日だった。
現実が受け入れられなくて、頭の中がパンクしそうになる。
一分一秒が長くて、永遠に続くのかと思う。
レイナと交わした言葉が思い出にはならず、オレの中に重くのしかかっていった。
『もう死んでしまいたい』
何度考えたことか。
自分の存在の軽さに絶望して
だけどアマゾンとの約束も破れずに過ごす苦痛。
仕事も当然辞めた。
親父も大部分の会社から現役を退いた。名ばかりの会長職や取締役。
警察の捜査が終わって、結局は親父も佳依にハメられたカタチとなって
佳依の子供じみた復讐は終わりを告げた。
遺族も関係者も、事件が解決してしまったら二時間サスペンスみたいに簡単に立ち直る事ができたらいいのに。
何かしようとか思わない。気力もない。
かろうじて眠って、少しだけ食事をして…人間らしい生活をすることで、生きる力を全て使い果たしていた。
そんなに前向きになんかなれねーよ…
何か始めて『今こんな事をして前向きに頑張ってます!』とか…言える人間がどこに居るってんだよ。