プライベート・スカイ
「…………はっ!?」

『何度も言わすなよ』

「いや、だって…」

あまりにも軽い感じだったし。

「アズマってどこまで本気なのかわかんないような事言うよね」

『俺はいつだって本気だよ。なんなら結婚する?』


   えっ

…え─────?



「つ、付き合ってもいないのに?!」

『そんなの関係ないと思う。
俺なら金もあるし、贅沢させられないけど、それほど苦労はさせないし、お前を幸せにする。雨峰…返事は?』

一瞬。

一瞬(だけ)迷って、あたしは答えた。

「いや、いいや。やっぱやめとく」

『即答かよ!?』

「あたしはねー、ちゃんと恋愛して決めたい方なの」

『そんな事ばっか言ってると婚期逃すぜ』

「いいの!遅くても縁があれば結婚できるもん!だからアズマもさーちゃんと好きな子と結婚してね」

あたしの事は義務から出た言葉だって、ちゃんと分かってた。

…ちょっと恋になりかけてたけど、さ。

これでいいんだよ。


『じゃ俺の事が好きだと思ったら連絡しろよ?ちゃんと順番通りに恋愛してやるから』

「バーカ、絶対にしないからね!」

アズマと二人で笑った。

…この電話が最後だって思った。

< 371 / 379 >

この作品をシェア

pagetop