プライベート・スカイ


───元気でね

───またね

───バイバイ





軽く答えた言葉が、最後の別れの言葉になるだなんて、誰が考えるだろう。

そんな別れ方をあたしは何度も経験してきた。

でも、それは仕方のないこと。

お兄ちゃんも、レイナちゃんも、アズマとも同じように別れの言葉は交わされてきた。

でもまた会える事を期待して交わす別れの言葉。

あたしは別れを悲しい事だと思わないようにしたい。

会わなくなっても、みんな遠くの違う世界で頑張って生きてるんだって思うから。



巡る季節。
流れる時間。

人と理解し合おうと努力しても分かり合えない事だってたくさんある。

けれどそれは自然で、フツーの事なんだって

青山さんが、あの時の事を思い出して発作を起こす度に
あたしは隣で、発作が治まるのを何時間も待って話し続けた。

また青山さんが人を信じていけるようになったら嬉しいなって思うから。




あれから数ヵ月。
青山さんもだいぶ元気になってきた。

あたしが久しぶりに一人で散歩しようと外に出ると

土手はたくさんの人が歩いていた。


…桜が満開。

知らなかった。


もう季節は春になっていたんだって事を。
< 373 / 379 >

この作品をシェア

pagetop