プライベート・スカイ
たくさん居た人々の中から、小さな女のコが一人で桜の木の下で

うずくまるように小さくなっていた。

何してるんだろう?

何かで遊んでるようにも見える。ってか一人?パパやママは近くに居ないのかな?

まさか、お腹痛いとかって言うんじゃないよね?!

急に心配になって、あたしは女のコの横にしゃがみ声をかけた。

「ねぇねぇ、一人でなにしてるの?」

「…」

女のコはあたしの顔をジッと見ていた。

うっ…知らない人とは喋るなとか親に言われてんのかなー

警戒心を和らげようと、さらに笑顔で話しかける。

…これじゃ余計、人さらいっぽいよな…

「ママは?近くに居ないの?」

「…ママ、病院なの」

「えっ、病院!?ママ病気なの?」

「ううん。赤ちゃんが生まれるんだって」

「あ~出産で入院してるのね」

「でも赤ちゃんが早く生まれてきちゃうと困るからって、ずっと入院してるの」

「…そっか。ママも赤ちゃんも心配だね」

「ママずっと入院してて桜見られなくて残念って言ってた。

だからね、春陽、ママに桜を見せてあげたいなって思ったの」

「どうやって?木を切ったら怒られちゃうよ?」
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