プライベート・スカイ
アマゾンと春陽ちゃんの声に、関係ない人達まで病室の窓を開けて外を見ていた。

「ママ─!!!!」

こっちが恥ずかしくなるくらいだけど、二人は必死だ。

しばらくすると、前もって教えられていた病室から女の人が顔を出した。

「…あの声、もしかして春陽かしら?」

よしっ、オッケー!!

二人に見えるように両手で大きく手を降って、丸を作った。

「せーのっ!!!!」

二人の大きな掛け声と共に、空に桜の花びらをまいた。

花びらはフワリと風に舞い、上手い具合に桜吹雪となって空に浮かんだ。

青い空に映える桜。




「綺麗…」

見ていた人達も、空を見上げてそんな風に呟いた。




こんな空を、ずっと見ていたい。

自分のものだとアピールするのもいいけど

こんな風に、ここにいる全ての人と想いを共有できるっていいなって思った。

人とわかりあえる事は不可能じゃないんだ。

そう思わせてくれた空の奇跡。

少しずつでいいから

生きよう…




オレはアマゾンと春陽ちゃんの満足そうな顔を見てから

芝生の上にゴロンと寝転がり、空に舞う桜吹雪をカメラにおさめた。





『Private Sky』
End…
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