プライベート・スカイ
何度も心の中で謝っていた。

透依に言えないこと。私にはたくさんある。

言ったら100%嫌われるし、言うつもりもなかったけど…

どうにかしなきゃ。出来れば早いうちに。

色んなことを考えていたら、その後は一睡もできなかった。

「…ん…レ…イナ?起きてんのか?ちゃんと寝れたか?」

朝方になって透依が目を覚ました。

「うん、眠ったわ…」

そう答えて、私はそれ以上なにも話さなかった。

透依が仕事に行かなきゃならないので、起きて仕度を始める。

それを寂しいなって思いながら見ていると、彼も寂しそうに笑った。

「そんな顔すんなよ…夜にはまた会えるからさ」

「ん…そうだね。ガマンする…」

『好き』と『いってらっしゃい』と『いってきます』のキスをして

私達はホテルを出て、それぞれの目的地に向かった。

もちろん透依は会社へ。私は…お店に。



当然、今は朝だしお店は閉まってる。
当然、誰もいない。マスターだって帰宅してる。

でも私は裏口の合鍵を持っていた。さすがに事務所の鍵は持ってないから強盗はできないけど

自分のロッカールームに入るだけの合鍵。
私は慣れた手つきで鍵を開け中に入った。

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