プライベート・スカイ
そう言ってオレは一人、事務所に残された。それからすぐに扉が開き、マスターとレイナがやってきた。

「ほら、レイナ!」

レイナは顔を下に向けて、不服そうな顔をしていた。

「レイナ!」

「マスター、私ちゃんと謝りますから…部屋の外に出ててくれませんか」

「レイナ、何言っ…」

「オレは何だって構わねーよ」

レイナが何を思ってるかなんて、どーでもよかった。

早く謝ってほしかったし、早く中川さんの所に戻って謝りたかった。

マスターも納得いかない顔をしていたが、このままではレイナが謝らないと悟ったのか

「ちゃんと謝るんだぞ」

と言うと、事務所を出ていった。




すぐにレイナが謝るのかと思っていたが…彼女はなかなか口を開かなかった。

…イライラするな。

「お前さ…」

口を開きかけた途端、レイナはオレに抱きついてきた。




「えっ、ちょっ…何?!何だよ?!」

「───…ごめんなさい…二人きりになりたくて、ワザとやったの…」

「はっ…?」

オレに抱きつくレイナの腕が震えてるのに気づいて、オレは彼女の肩に手をかけた。

「なんだ…何かオレに話したいことでもあったのか?」

< 9 / 379 >

この作品をシェア

pagetop