Cross
「そうなんだ〜でもさあの人は先生の事好きだよね。」


少し茶化しながら言う私に彼は
「んなわけねぇ〜よ」
笑いながら言う


「あるよ」

私の予想は外れてないと思う

「はいはい」
彼は誤魔化すように言った

「じゃあ先生って彼女いないの?」

「残念ながら〜」


彼は机においてある資料などをぱらぱらとめくりながら答えた


「好きな人も?」


「好きな人か…いる…かな?」


予想と違う答えがかえってきたせいで少し動揺してしまった


それとどうじになんだか胸が締め付けられるような感覚に陥った


「そ…なんだーどんな人?」

彼は静かに資料から目をはなし

「ん…少女みたいな人かな。」

資料から離した目は宙を仰いでいる


心なしか彼の目は悲しそうにみえる


突然話しはじめた言葉に私はかける言葉がみつからない



「俺を一番に思ってくれて…だけど俺を一番傷つけた人」
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