Cross
大学について駐車場に停まっていると

しばらくして桃華さんが数人の男達に囲まれながら歩いてきた


「桃華ちゃん〜じゃあね〜」
まるで飼い主に尻尾をふる犬のように

ニコニコしながら男達は手を振っている


桃華さんも手を振って車に向かってくる


助手席の方まで歩いてきて私に気付いて足を止めた

さっきまでニコニコしていた顔が無表情になる


そのまま後部座席のドアを開けて乗り込んだ


「姫は今日も人気者だな」
彼はミラー越しに桃華にはなしかける
桃華は無視して短い緩いウェーブのかかった髪に
指を絡めながら窓の外をみている

何も言わなくても態度で不機嫌なのがわかる


彼は苦笑い



「てかさー生徒といちゃついてる祐介きもちわるーい」

桃華が嫌みまじりで言った

「あのな…」

彼は呆れたように言い返そうとしたが
そんなことはお構い無しに

「病院とか言ってーあやしいことしてたんじゃないの〜?やだやだ」


彼は呆れて何も言わない
それが気に入らなかったのか

「てか何で祐介が病院つれてってるの?別にそこまでしなくてもよくない?」


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