Leave a prove
サッカーは、野球とは違い、技術だけが秀でていても強いチームにはならない。

個人の技術以上に求められるのは、絶対的な運動量なのだ。チームメイト全員が、鉄の心臓を持つ、俺らのチームは運動量だけで言えば、地区予選で当たるチームよりもずば抜けていると俺は思う。

実際、相手のチームは俺等のプレッシャーに負け、こうしてボールを奪われ、攻め込まれる形になったのだ。

ボールを奪った俺等は、この機会を逃す訳がなく、サイドに展開していたサイドハーフにボールを回し、サイドから攻撃を組立てた。

カウンターを受ける事になった相手チームは、フォーメーションを崩してしまい、サイドに偏った布陣を展開した。その事により、中央がポッカリと開いた形になり、その隙を逃さなかったサイドハーフが、中央にスルーパスを入れる。

そして、そこに待っていたのが、俺になる…。

オフサイドラインギリギリに張っていた俺は、パスが出るのと同時に飛び出し、そのパスに反応した。相手選手は、しきりにオフサイドを主審に要求をするものの、主審は副審の判断を尊重し、プレーの続行を支持した。

その事により俺は、キーパーと一対一の状況になり、キーパーと対峙する事になる。相手キーパーは、俺の方に飛び出して来たので、シュートコースは狭くなった。

良い判断だな…。だが、冷静に判断出来るほど、余裕はないだろう。

俺は、シュートのモーションを作ると、キーパーは状態を低くし、俺のシュートに構えた体制になる。俺はそのまま、ボールを蹴るフリをして、ボールの上面を足で滑らせる。

キーパーはその動作に反応し、膝を地面に着く形になり、動くが止まる。その様子を確認した俺は、キーパーとは逆方向にボールを運び、キーパーを交した。

そして、無人となったゴールに冷静にシュートを打ち、俺の蹴ったボールは、何者にも邪魔される事なく、収まる場所にきちんと収まった。

ここまでの所要時間はたったの二分。この時俺は、ゴールを告げる主審の笛を感じながら、自分の調子が本調子だという事を感じた。

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