Leave a prove
程よい緊張は、集中力を切らさないでプレーする為に必要だ。だが、必要以上に緊張し過ぎるのも俺としては困る訳だ…。

だからこういう時は、茶化すように話しかけるのが効果的。

何故なら?

「キャラとか関係ねぇだろうが。人前で緊張するのは当り前だろっ!」

直輝は、首にかかっていた俺の腕を掴むと背中で持ち上げ、回転しだしたりする。要は俺にジャレてきてるのだ。

「人前で緊張しないのがお前だろうが。普段は、率先して人前でふざけるくせに、こういう時だけお利口さんになってんじゃねぇよっ」

「なぁにぃっ!?俺は常にお利口さんだ!」

先ほどの固い表情が嘘のように、今は楽しげな表情をしている直輝。かく言う俺も、緊張が解け、リラックスしてきた様な気がする…。

そんな俺達の様子が滑稽だったのか、俺の学校の生徒達は、俺らの様子を見て、笑い声を上げていた。そして、そんな中には真紀の姿もあり、隣には学校指定の制服をセクシーに着崩したサクラの姿もある。

真紀の姿を確認した俺は、直輝を無理やり振りほどくと、真紀の方に近づいて行った。

真紀はそんな俺の姿を確認すると、客席の前の方に来て、可愛らしい笑顔を俺に向けてくれていた。実に癒される笑顔だ…俺としては、癒し系の代名詞にしてもいいぐらいである。

「応援よろしくなっ!」

「うんっ!頑張って応援する」

真紀の小さい声でも届くぐらいの距離に近づいた俺は、真紀に向かって声をかけてみた。すると真紀も、俺の言葉を聞くと、一度頷き、控え目ではあるが、しっかりと声を出して返事をしてきた。
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