Leave a prove
そんな俺の様子を見た直輝は、俺の隣に姿を現すと、これでもかと言うぐらい大きな声でとんでもない事を言い出す。

「大衆の面前で随分と見せつけるじゃないかキャプテンっ!真紀ちゃんに愛してるって言わなくても良いのか!?」

こんな時のバカは強い。態度も声もでかい直輝は、先ほどの事を恨んでいるのか、とんでもない事を言い出した。

周りで俺達の様子を見ていた観客も、直輝の言葉に盛大な反応を見せる。茶化すような言葉を俺に投げつける奴もいれば、真っ赤になっている真紀に黄色い声援を送る輩まで出てくる始末だ。

「こんな場所でそんな事言えるかっ!バカじゃねぇのかお前!」

「バカで結構。真紀ちゃんの事しっかりと愛しているのなら、言えるはずだ。それとも中途半端な気持ちで付き合ってるのかな?」

直輝はふざけた拍子で俺にそう言ってきた。周りの観客は直輝の発言を圧倒的に支持し、俺は完全に空気の読めない男になってしまっていた。

つうかそんな事こんな場所で言ったら、75日バカにされ続けるのがオチだろ!

「俺にだって羞恥心ぐらいあるんだよっ!お前みたいに…」

「神崎君っ!直輝!ミーティングするから早く集まって!」

俺が一人その場でテンパっていると、ノアの方舟の如く助け船が俺に舞い降りた。俺達に声をかけてきたのは友里で、遠くから大きな声で俺達の事を呼んでいた…。

「おうっ!今行くよ!」

誰よりも早く反応を示したのは、もちろん俺だ。友里に返事を返すのと同時に俺は、猛ダッシュで皆が集まっている場所に向かった。

そしてこの時俺は、友里の背中から、天使の羽が見えた気がしていた。

「待てコラっ!一言で済むんだから早く言え!」
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