Leave a prove
直輝はそんな俺の後ろを着いてくる様に走りながら、そんな言葉を俺の背中に浴びせかけてくる。もちろん俺は、そんな直輝の事など完全無視だ…。

付き合う時しかそんな恥ずかしい事言ったことないのに、こんな大勢の前で言える訳ねぇだろばぁか。




「真紀?」

観客席で事の成り行きを見ていたサクラは、観客席の前の方に移動していた真紀に声をかけた。真紀はサクラに声をかけられ、ゆっくりとサクラの方に視線を送る。

「…あなた変な事考えてない?」

「うん?変な事って?」

真紀はサクラの言葉に疑問符を投げかける。サクラはそんな真紀の様子を見ると何でもないと言い、真紀に笑顔を向けると、自分たちの席に戻ろうと真紀に問いかけた。

真紀はサクラの言葉を聞くと笑顔で返事を返し、サクラの後に続いて席に戻って行く。だがサクラの後ろで見せる真紀の表情は、さきほどの笑顔とは違う感情にあふれている様だった…。




試合前のアップやミーティングを終わらした俺達は、いつもとは違う緊張感に包まれながら主審が呼ぶ合図を待っていた。俺は靴ヒモの結び目を強く結び直し、レガースの位置を微妙に調整しながらその瞬間を待っていた。

「おい春樹。ちょっと良いか?」

相手チームのメンバー表を見ていた菊池先生が、俺に向かって声をかけてきた。俺は返事を返しながら菊池先生の元にかけつける。

「何すか?」

「このボランチの奴に気をつけろ。多分お前の動きを封じにかかるはずだからな…」
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