Leave a prove
我慢比べだ。先に根をあげた方が負ける事になる…。

試合は激しい攻防戦になっていた。俺はポスト的にポジションを取り、アシストに回る動きを心がけながらプレーをしていた。それは長澤が俺のマークを外さない様にポジションをとっていたし、正面突破は正直リスクが高く感じたからだ。

俺は地元の選抜チームには参加していない。それは興味がなかったのもあるが、自分のチームの事で精いっぱいだった事もある。

だが長澤は地元の選抜にも参加し、結果もしっかりと残している男だ。将来も嘱望されていて、強豪校からも推薦がたくさん来ている。

安定化のあるディフェンスと強靭なフィジカル。それを兼ね備えた長澤は、俺の地元の中では有名な選手と言える存在である。

俺がボールを持つと素早くプレスに来る長澤を回避しながら俺はボールを下げ、スペースを見つけてはそこに走りこみ、チャンスを探す様にプレーをしていた。

だがそれもジリ貧に終わる。

長澤の指示もあってか、スペースを見つけても簡単に消されてしまう。それにこれまでの相手よりも格上なだけあってか、運動量も俺達に匹敵するぐらいある。

勝負しかないか…。

俺は意を決して勝負をしかけることにした。時間は前半ラスト10分前ぐらい…。

0-0の状態で共に様子見を続けていた俺達。自陣からのパスを受けた俺は、前を向いて勝負をしかける事にした。

両サイドは共にスペースを見つけてはそこに走り込み始めている。俺がボールをトラップし、前を向いた事で攻撃を仕掛けると読み取ったようだ。

当然1.5列目の岸田(2年生のエース)も俺の動きを察知し、攻撃の準備を始めた。

後ろからは直輝の大きな指示もあり、ディフェンスラインを大幅に上げ、カウンターに備える事も忘れていない。オフサイドトラップの準備も出来ている…。

よし…行くか!

俺は長澤がプレスをかけてくるタイミングを見て、サイドの仲間にパスを出した。
< 111 / 141 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop