Leave a prove
ちなみに俺のシュートは途中まで完璧だった。

普通に打ってたら間違いなく入っていた。

長澤が…俺の軸足を『故意』に削ろうとしなければな。

「っ…!」

かなりまずい痛みだった。

今まで経験した痛みの中で、ベスト3に入るぐらいの痛み。

俺の軸足はかなりの熱を発し、疲れと息切れと痛みのトリプルパンチで意識が混濁しそうになるぐらいやばい痛みだ。

俺はシュミレーションが好きじゃない。

性分なのか、ファールをされた場合、体が踏んばることを選択してしまうのだ。

だから俺はあまりファールをもらうことがない。それが弱点にもなるのだが、俺はそれでも良いと考えている。

なのだが今の俺は、地面にうずくまり、左足首を抑えながら、必死に声を殺していた。

かなりの激痛で、とても立ち上がる事が出来そうにない。

痛みで周りの状況を確認出来ていなかった俺だが、主審はしっかり見ていたのか、長澤にイエローカードを提示していた。

そんな主審に詰め寄るようにして俺の仲間が抗議していた。

(あれは明らかに悪質な故意のファールです。決定的場面を潰したんですから、退場になるべきです)

とな。だが一度提示したカードは覆ることはないので、長澤が退場になる事はないだろう。

確かにあのファールは故意だ。やられた俺が一番理解している。

実際長澤は、俺に一瞥もくれることなく平然とした表情をしている。

怒りすら覚えそうなものだが、やっぱり俺はそれどころではなく…。

左足の痛みで意識が飛びそうだった。

俺の仲間が、俺の下に近寄り大丈夫かと声をかけてくる。

俺は一言大丈夫と声をかけて、立ち上がろうとしたのだが、どうしても左足に重心を掛けることが出来ず、不自然な立ち方をしてしまう。
< 125 / 141 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop