Leave a prove
そんな俺を脇から強引に腕を持ってくと、一人の男が俺を強引に外に連れ出そうとした。

「治療が必要だ…一度ピッチの外に出ろ春貴」

「キーパーがこんな前線に来るなよ直輝…俺は問題ないから」

なぜか前線まで駆けつけていた直輝は、俺の意見など完全に無視して、俺をピッチの外に連れ出した。そこに駆け付けて来たのは友里だった。

友里は俺をその場に寝かせ、服が汚れる事も気にせず自分の膝の上に俺の左足の乗せ、素早く俺のシューズとソックスを脱がして、俺の足首の状態を確認しだした。

直樹はその姿を確認すると、後は任せたと友里に言い、足早に自分のポジションに帰っていく。

友里は俺の足首の状態を見て、苦痛の表情を浮かべると、俺の足を軽く…ほんの軽く手で動かした。

途端に鋭い痛みで息切れを起こしている俺の呼吸が一瞬途絶える。それを見た友里は腫れている足の患部にスプレーをかけながら、俺に話しかけた。

「ひどい腫れ方をしているわ。これ以上の試合は無理よ…」

確かに骨に異常があるかの様に、足首の腫れがひどくなってきた。おそらく時間が経てば、腫れはどんどんひどくなっていくだろう。

だが俺はここで抜ける気には少しもなれず、素直に友里の言葉に賛同出来なかった。

「余裕だこんなの。まだまだいけるさ」

にこやかに笑ったつもりだったが、余計に痛々しい表情になっていたと思う。

俺は友里の膝元に置かれていた自分の足をどかし、脱ぎ捨てられていた自分のソックスを履こうとした。

だがそんな俺の行動を見て友里は、俺からソックスを取り上げると、シューズも俺の手が届かない位置に移動させた。

「何する…さっさと寄越せよ」

気持ちが高ぶっていたせいもあったかもしれない。俺は友里を睨みつけると、凄んでいた。

「ダメ。これ以上は無理よ」

「それは俺が決める事だ。友里が決める事じゃねぇよ!」
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