Leave a prove
友里は必死に走っていた。それはマネージャーとしての義務感からくる行動力なのか、春貴の体を心配しての行動力なのかはわからない。

だが友里は観客席に到着した時には、息を乱していた。

友里は息を整えながら周りに視線を向け、保健の先生を探した。そして発見した。

保健の先生という存在は、非常に人気が高い事が多い。それは春貴の中学も同じ事だった。

保険の先生は、女子生徒に囲まれながら、試合を観戦していた。だがどちらかというと、保険の先生は春貴の方に視線を送っている様に見える。

友里は息を整えると、保健の先生に声をかけてた。

「先生。ちょっと来ていただけませんか?」

後ろから突然声をかけられた保健の先生は、少し驚いて振り向いたが、友里の姿を見ると、納得した様にうなずく。

「私も少し気になっていたところよ。でも私が入っても大丈夫なの?」

「問題ないです。許可は取りましたので」

なら…と言うと保健の先生は、ベンチから立ち上がり、友里の後に続いて歩いてく。だが出口に差し掛かろうとして時、友里に話しかける人がいた。

「怪我はどうなんだ友里?そんなに酷いのか?」

それは試合観戦をしていた拳だ。拳の後ろにはサクラや真紀の姿もある。

「ちょっとね…酷い腫れ方してるから、骨に異常があるかもしれない」

友里は見たまんまの感想を拳に答えた。その言葉に心配そうな表情を見せるサクラや真紀。拳はそうかと返事を返すだけで、特に表情に変化はなかった。

「あの…私は入れませんか?」

控え目に真紀は友里にそう聞いていた。

「ごめんね。たぶん無理だと思うわ…一応関係者以外は入れないから、今回は特例なのよ」

友里は、真紀の気持ちが理解出来るのだろう。申し訳なさそうにそう話した。
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