Leave a prove
中盤までポジションを上げた長澤が入ることにより、俺らのチームで軽い混乱が起こり、プレスのかけかたにムラが出来てしまった。

面白いように簡単にボールが全線に通ってしまい、俺らのチームは防戦を強いられる展開になった。

「まずいな…長澤のキープ力は伊達じゃない。このままだときついな」

今までは俺が長澤を止めていた。というのも長澤は俺にだけ集中してゲームメイクをしていた。

自分で言うのもあれだが、長澤以外の奴が俺についていれば、簡単にボールをキープ出来たし、ミドルからいくらでもシュートを打てたんだ。

でもアイツがマンマークで付いてくると何も出来なくなる。プレスが普通じゃないんだ…。

あいつは攻めながら守る奴だからな。

まずい…なんとかしないと。

「ちょっと神崎君?先生が来てくれたんだけど…」

試合に集中していた俺の背後から友里の声が俺の耳に届いた。振りぬくと確かに保健の先生が俺の背後に居た…。

「怪我したらしいじゃない。私に見せてごらん?」

先生はそう言ってきたので、少しめんどくさいと思いながらも俺は、ベンチの後ろに移動すると、先生に左足を見てもらうことにした。

俺の左足は時間が経つにつれ、腫れが酷くなってきていた。

くるぶしの段差がなくなるぐらい腫れ、熱も発している。俺としては、これが自分の足かと目を疑いたくなってくる。

先生は俺の脚を触りながら幹部を眼鏡越しに観察しだした。時折関節を軽く動かし、俺の眉間に皺を寄せながら…。

それを30秒ほど続けると、先生はかなり神妙な表情をしながら軽く吐息を吐いた。

「どうですか先生?神崎君の脚はひどいんですか?」

なぜか俺よりも神妙な表情で友里が保健の先生に聞いていた。当事者の俺はというと、自分の怪我の具合も気になるが、それ以上に試合展開の方が気になりすぎて、軽くどうでもよくなっていた。

そんな俺や友里に視線を送る先生は、冷静な口調で俺に告げた。

「今すぐ病院に行きなさい。触診じゃ断言は出来ないけど、足首が脱臼骨折している可能性が高いわ…」

はぁ?

脱臼骨折??
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