Leave a prove
なら俺が今しなくてはいけない事は。

「行かねぇ…」

「「えっ?」」

病院になんて行ってたまるか。まだ試合は終わってねぇんだ。

この試合を見届けないと後悔する様な気がする。これに負けたら中学生活のサッカーが終わりになっちまうんだ。

俺は右足と両手を使いその場に立ち上がると、そのままベンチに戻った。そしてさっきまで座っていたベンチのところに戻ると、席に着いた。

そんな俺の様子を見た友里は、表情を厳しいものにし、俺に詰め寄ってくる。

「ちょっと神崎君っ!先生の話聞いてたの?足が骨折してるのかもしれないのよ?」

「聞いてたさ。だからこうして残って試合を見る事にしたんだよ。どっちにしろ試合は後半戦で残り時間は10分もないんだ…それを見届けてから病院に行っても対して違いはない」

そうだ。俺はこのチームのキャプテンで、ここに居るみんなの大黒柱なんだ。

ベンチに下がろうが、俺に出来ることはたくさんある。

「気合見せろよお前等っ!もう一点取って、トドメをさしてやれ」

試合展開はかなり一方的な方向に向かっている。1点ビハインドの相手チームの状況を考えればこの展開はある意味必然だ。

相手にしなければここでどうにかしないと負け。守っていても活路は見いだせないのだから。

だからこそ攻めるんだ。相手が攻めればそれだけ隙が出来るのだから。

俺はある意味覚悟をきめ、試合観戦を開始したことにより友里や保険の先生は互いに顔を見合わせ、深いため息を吐いた。

それこそ俺の耳に届くぐらい盛大な溜息を…。

「もぉ…知らないからね。私がどれだけ心配していると思ってんだか…」

「…悪りぃ」

確かに俺はわがままなガキだ。自覚はある…。

でもこの試合だけは見届けたいじゃねぇか。俺はみんなでこの試合の勝利を分かち合いたいんだからな。
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